「水はどれくらい持っていけばいい?」「行動食はどのくらい要る?」——登山の補給は、多すぎれば重く、少なすぎればバテや脱水につながります。まずは体重と行動時間から、水分・消費カロリー・行動食・回復のタンパク質の目安をまとめてつかんでみましょう。

MOUNTAIN TOOL

山の水分・カロリー計算機

体重と行動時間から、登山の水分・消費カロリー・行動食(糖質)・回復のタンパク質の目安をまとめて計算します。

体重と行動時間を入力すると、目安が表示されます。

この計算は大人向けです。子どもは体重1kgあたりで考えるため、この式をそのまま当てはめられません。目安と飲ませ方は子どもの登山、水分は体重で決めるをご覧ください。
すべて目安の計算です。必要量は気温・湿度・発汗量・体質・荷物の重さ・登りの傾斜で大きく変わります。とくに消費エネルギーは概算で、勾配や荷重が増えるほど実際は大きくなります。水は一度に大量に飲むと低ナトリウム血症のリスクがあるため、行動食や塩分と一緒にこまめに。タンパク質は行動中ではなく下山後〜翌日の回復にかけてとる量の目安です。持病のある方は主治医にご相談ください。

計算の根拠:水分=脱水量(ml)=体重(kg)×行動時間(h)×5(山本正嘉『登山の運動生理学とトレーニング学』)、補給はその7〜8割。消費エネルギー=約7METs×体重(kg)×行動時間(h)×1.05の概算。行動食=糖質を1時間あたり30〜60g(慣れた人は最大90g/ブドウ糖+果糖で吸収の上限が上がる)、おにぎり1個を糖質約40gで換算。回復のタンパク質=体重(kg)×1.6g/日(活動的な成人で1.4〜2.0g/kg、持久系で約1.8g/kg)、1食あたりは体重×0.4gで頭打ち。いずれも一般的な目安で、医学的な指示ではありません。

水分の目安(計算の根拠)

使っているのは、登山の運動生理学で広く知られる目安式です。

  • 失う水分(脱水量)の目安(ml)= 体重(kg)× 行動時間(h)× 5

これは山本正嘉『登山の運動生理学とトレーニング学』で示されている考え方で、多くの登山ガイドでも使われています。体重が重い人ほど、また長く歩くほど、失う水分は増えます。ザックが重い日は、体重にザックの重さを足して入力すると、より実態に近づきます。

用意する量は、失う水分の7〜8割を目安にしています。これは、失った分を全部一度に飲もうとすると、かえって低ナトリウム血症(血液中の塩分が薄まりすぎる状態)のリスクがあるためです。残りは行動食や食事、経口補水などで補う前提です。

消費カロリーと行動食(糖質)の目安

行動中の消費エネルギーは、約7METs × 体重(kg)× 行動時間(h)× 1.05で概算しています。たとえば体重60kgで8時間なら約3,500kcal規模です。ただしこれはあくまで概算で、登山では勾配(登りのきつさ)と荷物の重さが消費を大きく左右します。急登でザックが重い日は、これより増えると考えてください。

補給する行動食は、カロリーの総量よりも、糖質を1時間あたりどれだけとるかで考えると実行しやすくなります。目安は1時間あたり糖質30〜60gです(おにぎり1個で糖質約40g)。長い行動でこまめな補給に慣れている人は、最大90g/時まで増やせます。このとき、原材料に「ブドウ糖」と「果糖」の両方が入ったジェルやドリンクだと、体が使える糖の上限が上がります。

大切なのは、まとめ食いではなく1時間ごとにひと口ずつ。エネルギー切れ(シャリバテ)は脚だけでなく判断力も鈍らせます。糖質の種類・食べるタイミング・おすすめの行動食は、登山のシャリバテを防ぐ行動食で詳しく解説しています。

回復のためのタンパク質

登山は「大量のエネルギーを使い」「下りで筋肉を壊す」運動です。傷ついた筋肉を作り直す材料として、下山後の回復にはタンパク質が欠かせません。目安は体重(kg)× 1.6g/日です(活動的な成人で1.4〜2.0g/kg)。体重60kgなら1日およそ96gです。

ポイントは、一度にたくさん摂っても筋肉づくりは頭打ちになること。1食で使えるのは体重×0.4g(60kgで約24g)が上限とされるので、朝・昼・夜と3〜4食に分けてとるのが効果的です。日本人は朝食で不足しがちなので、朝こそ意識したいところ。これは行動中ではなく、下山後から翌日にかけての回復でとる量の目安です。年齢を重ねた人ほど効いてくる考え方や、プロテインの選び方は登山にタンパク質が必要な理由と賢い摂り方にまとめています。

上手な補給のコツ

  • こまめに:水も行動食も、のどが渇く・お腹がすく前に、30分〜1時間ごとに少しずつ
  • 塩分も一緒に:汗で失うのは水だけではありません。行動食や塩分タブレットを組み合わせる
  • 暑い日・急登は多めに:気温や運動強度が上がると、発汗も糖の消費も跳ね上がります
  • 現地調達も計画に:山小屋や水場で補給できるルートなら、持ち歩く量を減らせます

水分と塩分のバランスが崩れると、足のつり(こむら返り)熱中症につながります。仕組みと対策は、登山で足がつる(こむら返り)原因と対処・予防夏山の熱中症対策で詳しく解説しています。

なお、用意した水を全部飲む必要はありません。長時間の行動では飲みすぎ側の不調も起こります。何をどう飲み分けるかは登山の水分補給|経口補水液とスポーツドリンクの使い分けにまとめました。

飲む量を増やすだけでなく、体に入る熱と日射を減らすのも合わせて考えたいところです。ネッククーラーや冷却タオルが実際に何に効くのかは登山の冷却グッズは効くのか、日射そのものを防ぐ装備は登山の日焼け・紫外線対策にまとめました。

補給の計画が立ったら、持ち物全体もそろえておきましょう。登山の装備チェックリストなら、行程や季節に合わせた持ち物を並べて、そのまま最終確認に使えます。


※この計算機の結果は一般的な目安であり、特定の個人に対する医学的アドバイスではありません。必要な水分・エネルギー・栄養の量は、気温・湿度・発汗量・体質・持病・登りの傾斜などで大きく変わります。持病のある方や不安のある方は、主治医にご相談ください。